しんぶん赤旗九州・沖縄面2008年7月2日(水曜日)

水曜随想

「開門」の政治決断こそ

参院議員 仁比聡平


 法廷では決して楽観できない経過をたどっていた「よみがえれ!有明海」訴訟で、佐賀地裁はまさに劇的に、国に「開門」を命じた。

 そこには、深刻な異変と被害が進行しつづける有明海を前にして、なすべき中長期開門調査に背を向け「諫早干拓のせいだというなら100%証明してみろ!」とでもいうかのように開き直ってきた農水省にたいする、裁判所の深い怒りがあるように思う。

 「もはや立証妨害と同視できると言っても過言ではなく、訴訟上の信義則に反するものといわざるを得ない」と断じた判決はよほどのことである。

 農水省は、みずから設置した第三者委員会で提言され、学会からも、そして二〇〇四年に出された佐賀地裁の工事差し止めの仮処分決定はもちろん、その後の高裁、最高裁、公害等調整委員会においても求められ続けてきた中長期開門に背を向けてきたのだから。

 それは、住民不在の巨大開発事業の、非科学的・利権的本質に由来する国の根本姿勢への断罪であるだけに、たとえ国が控訴しようとも、もはや逃げることのできない国民的課題であり、そうさせなければならない。税金をむだづかいし、地球環境をこわす巨大開発主義から、環境再生型・保全型への根本的転換の時代をはじめるときである。

 福田総理や若林農水相は、いまこそ有明漁民と面談してその苦しみを受けとめ、海に生きてきた漁民たちの
有明海再生への確信に耳を傾けるべきである。

 判決後、漁民と干拓営農者との対立を描こうとする農水省や長崎県政の姿があらわだが、干拓農地の営農と有明海漁業の両立の道を真剣に探究してきたのは漁民・市民・研究者の側である。代替水源確保の四つの提案は、他地域で国の事業としてなされている現実的なものであり、その具体化は大臣が指示すればすぐにできることだ。

 防災上の心配も、開門のやり方について、詳細な実験にもとづく研究者の科学的工夫の提言を受けとめて早急に具体化すべきである。

 一日も早い開門と有明海の再生を願う圧倒的世論をひろげ、すみやかな「開門」の政治決断を求めたい。

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