トピックス20060718

   


2006年7月18日「しんぶん赤旗」

サラ金 灰色金利撤廃へ(上)

大門参院議員に聞く

引き出した重要答弁


 自民、公明両党が利息制限法の上限金利を超える「グレーゾーン(灰色)」金利の撤廃を打ち出しました。この問題を国会で追及してきた日本共産党の大門実紀史参院議員に、背景と課題について聞きました。


 ――与党は年利29・2%もの暴利を可能にしてきた「グレーゾーン」金利(出資法の上限年利29・2%と利息制限法の上限年利15〜20%の間)の撤廃で合意しました。

 大門 背景にはサラ金被害の広がりと、長年にわたってこの問題にとりくんできた弁護士、司法書士、被害者の会を中心とした運動と世論の高まりがあると思います。

 サラ金利用者二千二百万人のうち多重債務者は二百万人にのぼるといわれ、二十万人が自己破産に追い込まれています。

図

 多重債務の主な要因としてバブル期の上位(一、二位)は遊興・飲食・交際費、ぜいたく品購入でしたが、最近は生活費、収入減少・失業・倒産が占めています。小泉「構造改革」が大きく影響しているんですね。

 運動、世論が高まる中で、最高裁は今年一月、「グレーゾーン」金利を事実上認めない判決をくだしました。しかし、今年はじめの段階では、金融庁も利息制限法までの金利引き下げは難しいという姿勢でしたし、与党や民主党の一部では、金利引き下げに反対する業界の意向を受けた動きがむしろ活発化していました。

もうけの構図

 ――日本共産党国会議員団は、運動と結んで先の国会で精力的にこの問題にとりくんできましたね。

 大門 ええ。私と、仁比聡平参院議員とで計十一回の質問を行い、重要な答弁を引き出せたと思っています。

 武富士、アコムなどサラ金大手は大銀行と提携し、1%台の金利で調達した資金を二十数%で貸し付けてばく大な利益をあげている構図を明らかにして、高金利是正を迫りました(三月十五日、参院予算委員会)。小泉純一郎首相は「高金利をむさぼっている業者に被害を受けないような対策を講じなければならない」と答弁し、これが流れを決定づけたと思います。

 与謝野馨金融担当相は「サラ金」という言葉を口にしてサラ金会社のテレビCMを「不愉快だ」とのべ、「(高金利が当たり前の)社会をつくってはいけない」といいました。実は、サラ金会社の広告収入の大きいマスメディアは、イメージが悪いということでサラ金業界から「サラ金」という言葉は使うなと言われ、「消費者金融」といっていたんですね。

 それを大臣がテレビカメラの前で「サラ金」といい、しかも不快感を示した。いままでサラ金追及を控えていた全国紙の記者から、多重債務問題などをやりやすくなったと感謝されました。

議連を封じる

 もう一つ。金利引き下げに抵抗する貸金業界の働きかけで、新たに超党派の議員連盟をつくる動きもあったのですが、これも質問でとりあげて、動きを封じることができました。

 さらにその後も日掛け金融問題などをとりあげた仁比議員と各委員会でサラ金質問を連打しました。その間、被害者の会の方々、弁護士さんたちの国会要請も精力的に行われました。こういうとりくみの中で、金融庁の「貸金業制度に関する懇談会」が四月に「グレーゾーン」金利撤廃の方向を打ち出しました。今回の与党の方針はそうした流れの中で出てきたものです。(つづく)


2006年7月19日「しんぶん赤旗」

サラ金 灰色金利撤廃へ(下)

大門参院議員に聞く

抜け道ない法改正を


 ――与党の方針で問題点は。

 大門 貸金業界もまき返しに必死で、政界工作をしています。雑誌『金融財政事情』(七月十七日号)は「上限金利引下げに慎重な議員から怒号が飛び交う」なか、合意したと自民党小委員会の様子を報じています。

「特例」の背景

 与党合意文書のなかでは考慮すべき点として「少額短期等の特例」をあげています。その理由は「少額短期の貸し付けであれば、借り手にとってある程度高い水準であっても負担となりにくい」というものです。「少額」がいくらかは定かではありませんが、サラ金利用者の一社あたりの平均借入額は約四十万円です。それらが含まれれば、「特例」でも何でもない、現状と何も変わらないということになりかねません。

 ――「特例」の背景には貸金業界の強い主張があるのですか。

 大門 そうです。「金利が大幅に下がれば、貸し倒れリスクの高い借り手(低所得者)には貸せなくなり、ヤミ金融に向かう」というものです。業界がしきりにいっているもので、高金利は貸し倒れリスクに備えたもので、引き下げると貸し付け時の審査を厳しくせざるを得ず、正規の業者から借りられない人たちが増え、結果的にヤミ金融の犠牲者が増える―という議論です。

 しかし、そもそもヤミ金融は犯罪ですから、根絶されるべきもので、それを前提にした話は成り立ちません。彼らのいう「リスク論」も間違いです。

悪循環を断つ

 現状は、高金利で貸すから返済しづらくなって、さらに貸し倒れリスクが高まるという悪循環に陥っている。利息を三割近くとったら当然そうなります。逆に高金利を引き下げれば返済、完済する人が増えるわけですから貸し倒れリスクも低まります。いまこそ業界のあり方を真剣に見直すことが必要だと思います。

 また、利息制限法を20%に一本化する意見もあります。現在は利息制限法で借入金額によって金利は三段階になっていますが、それをいちばん高い20%に引き上げるなどは論外です。

 こうした「抜け道」は絶対に許してはなりません。

 貸金業そのものは別に悪とは思いません。庶民への緊急融資は必要な部分があります。それは健全で国民のニーズに適正にこたえてこそ発展があると思います。国会質問のなかで金融庁の後藤田正純政務官が、個人向けの政策金融やセーフティーネットの必要性に言及しましたが、そういうことも必要になってくると思います。

 高金利引き下げは大きな流れになっています。サラ金被害者を根絶するために、抜け道を許さない法改正へ、世論と運動をいっそう強めていく必要があります。(おわり)